ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

自由主義経済体制の維持ということになるであろうが、これは、世界システムの一つの極である日本に課せられた当然の責務である。国連改革(安保理改革)へ向けてⅣでも若干述べたが、「新世界秩序」に対応した安全保障システムである協調的安全保障システムを形成・維持するために、国連安全保障理事会は、非軍事の分野で大きなパワーを持つ日本とドイツを常任理事国とするべきである。なぜなら、非軍事国である日本が世界の安全保障のあり方を決める重要な意思決定に加わることで、紛争処理の非軍事的措置が発達する方向へ向かい、それが協調的安全保障システムを安定させ、「新世界秩序」の維持につながるからである。具体的には、日本が常任理事国になることによって、これまで棚上げにされてきた安保理の軍備規制の計画策定の機能(国連憲章26条に規定)、そして予防外交・平和維持・平和建設といった国連の平和機能が活性化されることが望まれる。また、日本とドイツの常任理事国化が国際公益となる一方で日本・ドイツにとっても常任理事国化は自国の国益につながる。なぜなら、これまであまりコミットすることのなかった国際政治・安全保障の分野にコミットすることで、役割を押し付けられるだけの立場から、「新世界秩序」形成に主体的に関与することができるようになるからである。一部、日本が常任理事国になったら、軍事的貢献を余儀なくされるので常任理事国化に反対する人もいるが、この主張は間違っている。憲章上に常任理事国の軍事的貢献を定めた規定は存在しないし、実状としても、常任理事国が国連の軍事的措置に参加しないことは多いからである。また、常任理事国化と並んで重要なことは、日本が国連に対して非軍事的な分野で貢献を続けることである。最近の国連の平和機能には予防外交・平和維持・平和建設などといった非軍事的な機能が多く含まれる。日本は、自国の金銭だけでなく、人的資源・技術なども国連の非軍事的な平和活動に役立てることが必要である。572