ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回優秀賞よって、以上のことにより、「世界新秩序」に対応した安全保障のあり方とは、大国協調型の協調的安全保障システムを主とした安全保障、ということができる。Ⅳ.国連のあり方次に、「世界新秩序」に対応した国連、特に国連安全保障理事会のあり方について議論する。1.国連の目的と安全保障理事会国連憲章第1条1項に規定してあるように、国連の最大の目的は、「国際の平和及び安全を維持すること」であり、この目的を達成する主要な責任は安全保障理事会にあるとされる(同憲章24条1項)。つまり、安保理は国連の安全保障システムの中核的存在であり、紛争の平和的解決および強制的な解決の双方にわたる広範な権限を有しているのである。同憲章第12条1項に、安全保障理事会が任務を遂行している間には、総会は安全保障理事会が要請しない限り、いかなる勧告もしてはならない、と定めてあるが、これは安保理が国連の安全保障システムの中核たることを明確に示した規定である。次に、安全保障理事会の構造について説明する。安全保障理事会は、15の理事国で構成され、常任理事国5カ国(米・英・仏・ロ・中)と二年の任期で総会によって選出される非常任理事国10カ国より成る。理事国は、各一票の投票権を持ち、手続事項については、9カ国の賛成により、非手続事項については、5常任理事国(P5)の全ての同意を含む9カ国の賛成により決定される。非手続事項の投票においては、いわゆる拒否権と呼ばれるものが存在するが、この拒否権は、大国を国連に繋ぎ止め、安保理を有効に機能させておくために考案されたものである。最後に、安保理を中核とする国連の平和機能について説明する。冷戦期の米ソの対立による安保理の機能麻痺に伴う国連の平和機能の弱体化を越え、「世界新秩序」へ向かう現在、国連は世界の平和・安全の維持に中心的な役割を果たすようになった。国連の平和機能を理論的に類型化すると、以下のようなものになる2727山本吉宣「冷戦後の国際安全保障システム」『岐路に立つ国連と日本外交』30-32頁。565