ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

-分散化(挑戦国の登場)という構成により成っている、とされる。彼の分析枠組みによると、現在の1997年は世界大国の非正当化の末期であり、これに続く21世紀の「世界新秩序」においては、分散化(挑戦国(モデルスキーはソ連とした)の登場)が進むことが予想される。今の時点では、「世界新秩序」のあり方についてのモデルスキーの議論の妥当性を問うことはできないが(まだ「世界新秩序」が如何なるものかがはっきりしないので)、現在の状況についてのモデルスキーの予測については、それが妥当なものである、とはっきり断言できる。なぜなら、現在は、アメリカの覇権の時代が完全に終わり、覇権安定論者が言う「ポスト覇権」システムの時代に入ったと考えられるからである。私は、少なくとも21世紀の初期までは、このような「ポスト覇権」システムが存続する、と考える。それは、衰退しつつある覇権国・アメリカに挑戦できるような強力な国家がいまだに存在しないし、当分の間出現しないであろうからである11。それでは、21世紀へ向けた「世界新秩序」の姿であると考えられる、「ポスト覇権システム」とはどのような世界システムなのであろうか。以下、それについて述べる。ポスト覇権システムポスト覇権システムとは、「国際政治経済場裡の各領域に最も深く関わる関係各国が相互に、そして外部とも絶え間ない利害の微調整を行いながら、政策協調とコンソーシアム型共同管理システムの運営を通じてその特定領域の秩序を維持し、また各国が国民の支持と比較優位のあるところで国際公共財を提供し合う、分散傾向の強い国際システム12」である。以下、覇権システムと比較しながらその特徴について述べていく。<ポスト覇権システムの基本構造13>基本要素覇権システムポスト覇権システム秩序維持の主体覇権国コンソーシアム秩序維持の基本覇権国の強さ(国際格差)政策協調と利害の連続的微調整国際公共財の負担プロセス集中的分散的55411一時期は、ソ連、それに次いで日本が次の覇権国ではないか、と目され、最近では中国がそうされたが、どの国も総合的なパワーという面においてアメリカに勝らない。12猪口邦子「ポスト覇権システムと日本の選択」103頁。