ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
54/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている54ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

な考え方であり、容認されるべきものではないと思う。逆に国連に貢献することによって戦争を引き起こした罪を償って行くべきなのではないだろうか。しかし常任理事国になれば国連での発言力が増し、自国に有利な国連運営が望めるといったような自国の国益だけを重視した考え方や、巨額の国連分担金を拠出させるためだけに、日本やドイツといった経済大国と言われる国々を常任理事国に入れようとする考え方も、また否定されるべきであろう。常任理事国の選定に関しては、地域的、政策的に偏らず、国連の場で公正で適切な判断ができ、いかに国連に対して貢献できるかということが重視されるべきであると思う。第三に、国連の決議に現存よりも拘束力を持たせるよう、国際法の整備と常任理事国の拒否権の撤廃を検討すること。但し、常任理事国の拒否権は東西冷戦時代でさえ、実際に行使されたことは数える程しかなく、一カ国の拒否権の発動により理事会の決議が覆されるのは不合理であるとの批判も有るが、現在アメリカ一カ国だけが理事会を牛耳っているような、或る国又は或るグループだけが専横しているような状況下では、その行き過ぎに歯止めを掛けるという意味で重要であると思う。従って拒否権の撤廃を考える際には、常任理事国の構成メンバーが地域的、思想的、利害的に偏っていないことを前提としなければならないであろう。次に、今後国連が安全保障の面で果たすべき役割であるが、まず各地で激化している民族紛争及び地域紛争の解決が挙げられるであろう。民族紛争に関してはその解決方法として、民族間の衝突を回避させるために民族別に居住地域を定める住み分けが考えられている。しかし、これは非人道的であると国際世論の批判を浴びている。武力を用いて他民族を追放し、地域の居住民族を単一化しようとするエスニック・クレンジングと共通する点が有り、またどうしてもその国における少数民族が不利な状況に置かれがちで、社会的、経済的に立ち行かなくなる恐れも有り、単純な線引きには難しい問題がある。従って今後いかなる方法を以て民族紛争及び地域紛争に対処し解決して行くのか、早急52