ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「冷戦後の新時代における国連の理念と役割」佐藤良子国連(国際連合)の基本的理念は、国際連合憲章第一条が国連の目的を、第一に国際の平和及び安全の維持、第二に人民の同権及び自決の原則の尊重に基づく諸国間の友好関係の発展、第三にあらゆる差別の撤廃による人権及び基本的自由の尊重、そしてこれらの目的を達成すべく、諸国の行動を調和するための中心となること、と規定していることから全世界の人々が平和に、自由に、そして平等に暮らせる世界の創設であると言えよう。米ソ二大超大国を中心とする西側自由主義陣営と東側社会主義陣営の双極構造による冷戦下時代においては、国連の主要な役割は全世界的規模での戦争の回避であり、この観点から両陣営の軍事バランス及び軍縮という問題が重要視されてきた。1962年にキューバで発生した米ソによるミサイル配備を巡る紛争は、第三次世界大戦を全世界に現実に起こり得るものとして認識させ、これを景気に米ソ間で核兵器の軍縮交渉や軍備管理交渉が進展し、冷戦構造は平和共存へと向かい始めたのである。そして1989年12月のブッシュ、ゴルバチョフ米ソ両首脳によるマルタ会談で、第二次世界大戦後40年以上も続いてきた東西の冷戦は終結し、これによって全世界的規模での戦争の勃発という危険性は、当面なくなったと言える。しかしソビエト連邦の崩壊による核兵器の分散管理、EC統合によるヨーロッパの軍事力の拡大、東欧諸国における民主化の動きと国家の解体そしてそれに伴う同体制内での民族間の対立、領土、資源、宗教を巡る地域紛争の激化等、新たな問題が噴出してきている。特に東西冷戦が終結し、米ソ二大超大国によるブロック体制が崩壊した今、バルト三国の独立やユーゴスラビア情勢といった民族紛争や地域紛争の激化が深刻な問題となってきている。これらの紛争は歴史的な経緯や宗教上の対立、経済格差等様々な問題が複合的に50