ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

年12月11日の安保理決議に基づきマケドニアに派遣された国連保護軍は、後に1995年3月31日の安保理決議に基づき、PKO活動史上初の国連予防展開軍(UNPREDEP)として活動したが、この活動は国連の明石康代表及びガリ国連事務総長によれば、旧ユーゴスラビア地域におけるPKO活動のうち唯一の成功例とのことである(スヴェトミール・スカリク/深瀬忠一訳「ジュリスト」No.1103、同No.1104、1996年-1997年有斐閣)。ここに日本が安保理常任理事国となった場合にいかに行動すべきかについて、重要な手がかりがありはしないだろうか。近時のPKOの傾向としては、予防外交が次第に重視されてきており、マケドニアにおける予防外交展開軍は、軍事部門も編成されていたが、それ以外にも軍事オブザーバー(非武装の将校たちによる)、文民警察、文民スタッフなどから編成されており、予防的任務を行った。その目的は「紛争が衝突に突入する前に、部隊の展開、調停、交渉、和解その他の平和的手段によって、いかなる紛争をも解決すること」(前掲「ジュリスト」No.1104)である。この予防展開軍は、ガリ事務総長より与えられた使命である予防外交の定義に沿った活動を行った結果、1948年から1995年にかけて国連が行った32の平和維持活動とは異なった最初の予防展開軍として実施されたものであるが、この予防展開軍の活動に関して、スカリク教授は次のような点を報告されている。「マケドニア共和国の市民たちの多数が確信しているのは、持続可能な平和を達成するために最も効果的な方法は、非暴力的な紛争解決および経済的進歩のための彼らの能力の発展、および、民主主義と種々の民族的グループの共存の発展だということである。」「国連予防展開(の軍事力)は国連への公債にもとづく武装した国別の徴集兵により構成され、容易に戦場マシーンの一部になりうる。国連予防展開軍の今ある姿は、予防展開行動(外交)と混同させるべきではない。それに変えて、将来の予防外交は、責任ある、経験豊富で公正な個人たち(明石康やBetty Peardonのような)が国連に直接的に募集充当され、かつ特別に専門的戦争予防と紛争解決のための限りなく非暴力的手段によって訓練され、平和維持能力により『武装した』人々によって編成される必要がある。」516