ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回最優秀賞「21世紀への世界新秩序形成と国連の機構改革(特に安保理改組)について、日本は何を主張し、いかに行動すべきか」滝石裕二1.はじめに現代の日本社会は、明治維新以来日本が一貫して追求してきた西欧の近代文明レベルに到達するという最大目標が一応達成された状況下にあり、今日では、日本社会が目指すべき次なる目標への熟慮と日本社会の来し方についての反省的考察とが同時に進行しつつあるように思う。とりわけ、非西欧諸国の中で最も早く近代化を成し遂げるにあたっては、日本独特の官僚制度や政治的慣行、外交姿勢などの面で、欧米社会に比べて後発の資本主義国家としての出発点に起因する様々な特殊性を内包しながら、今の日本社会を築いてきた。そして、第二次世界大戦での敗戦の経験により、日本の近代化志向にはさらに弾みがつき、所期の経済的目標はほぼ達成され、日本は国際社会における一応の普遍性を獲得した観があるが、経済面とて企業倫理の問題をはじめとする諸問題が山積しているのが現状である。まして、政治や法制度の面では、日本はまだまだ多くの特殊性を有する国の一つであり、真の民主国家として成熟しているとは言いがたい状況下にあり、こうした日本的特殊性をいかに克服し、国際社会における普遍性を日本がどのようにして獲得するかが、日本の当面の課題となっているように思う。憲法問題を論じる政治的風土については、日本が他の先進諸国に比べて大きく立ち遅れている部分であり、いわば真空地帯が形成されてきた部分であると思う。およそ、民主国家における憲法制定権者および改正権者が国民であるべきことは法理論からすれば自明のことであり、このことは国民の憲法についての理解がどの程度の水準にあるかという問題とは別個の問題であるはずである。ところが、わが国においては、長らく憲法についての505