ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
480/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている480ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

5.UNUと財源国連の各種機関の直面している問題として再三にわたりマスコミが取り上げているものの1つは、その予算、特に歳入源の枯渇問題であろう。最近の新聞紙上を賑わせている公務員の空出張問題なども、その遠因は予算不足にあるといえよう。特に税収など期待できない国連機関においては、収入源の確保は喫緊の課題ではないかと失礼ながら憶測せざるを得ない。UNUが他の国連機関に比して強みと言えるのは、1つは日本に立地していることであろう。かつては防衛予算と外交予算は別格などとささやかれていたが、冷戦後、日本の外交予算は、より獲得しやすくなっていよう。いかに泡沫経済が弾けたとはいえ、個人消費が伸びなやんでいるとは言え、おそらく世界一国連機関にとって優しい国であろう。この立地条件を十分に活かすべきである。そのための方策として、まず国連大学という名の研究所から、国連大学という名の大学へと徐々に転換しはじめる必要がある。ここで日本人スタッフを中心に、明文の規定がないとか規定違反であるとかいう杓子定規的反応が当然出て来よう。UNUはここで海外の大学の常識を十分に活かして反論すべきである。すなわち海外では産学共同は常識で、いかに多くの金を学外から獲得してくるかが学長・学部長のみならず教授に対する評価の最大のポイントであり、そのためには、民間企業と共同研究もするし、民間から学生や研究員を招き入れると。現在のUNUの最大の弱点の1つは教育機関としての機能を十分には決して発揮しておらず、ために本来なら世界中で活躍しているべき多くの卒業生もいないという事実であろう。そこで、UNUはせめて国連英語を中心として国際的活躍を期待できる人材養成方法の「研究」および実施という分野に一歩踏込むべきときに至っているのではなかろうか。またこれが独立採算的に、あるいは関係財団等の経営から始めて、結果的に当該国連機関の財源の確保に連結する点で、大方の理解を得られるのではあるまいか。478