ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

しかし、ここで取り上げておくべき事項がある。国連機関の組織体系を見てみると、国連は大きく、専門機関と国連総会付属機関とに分けられる。(専門機関は、19世紀以来の歴史と伝統を誇り、予算・人事を独自に決定することができる。つまり、総会と同等の権限をもつ機関といえる。また付属機関は、近年総会自身が必要に応じて設けてきたもので、トップ人事と予算は総会の承認を必要としている。)国連大学は、総会付属機関にグルーピングされるが、国連大学が国連の関与する領域全ての問題を研究していくためには、これらまったく体系の異なる2つの関係機関に対し、良好な相互関係を構築するためのたゆまぬ努力を続けなくてはならない。なぜなら、現在この2つの機関は担当領域の重複が問題となっており、どちらかに偏った対応は好ましくない。これから研究を行なうどの部門・領域に対しても、両機関の絶対的な協力・支援が必要であるからである。そして、国連大学が国連の諸機関と充分な協力体制を確立した時、国連大学は国連問題解決の中枢的役割を担い、世界の学術機関としての確固たる地位を築き上げることができるであろう。世界の学術機関としての地位が向上すれば、おのずと教授陣や学生、研究者達の協力が得やすくなる。つまり、世界の学会との協力関係がこちらの方面からも強化されていくわけである。(3)世界と国連と国連大学の未来国連はこれまで、核戦争や紛争拡大の恐怖から人々を守ることに主眼を置いてきた。創設当初の国連が守ろうとしたもの、それは「国家の安全保障」(National Security)であった。しかし、今後全世界を包含する唯一の世界機構である国連が取り組まねばならないのは、超国家的な問題、すなわち「地球規模の問題群」である。言い換えれば、今日国連に求められているものは、「人間の安全保障」(Human security)だといえよう。環境問題や経済問題だけではない。核の拡散防止、エイズ、テロや狂信的宗教団体などの反社会的行為などこれらの問題は実に多領域にわたっている。ここでこそ、国連大学などの学術機関が取り組んでいる研究の成果が発揮されるのではないだろうか。472