ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第13回佳作ウ・タント氏は、その大学の構想を「真に国際的な性格を有し、国連憲章が定める平和と進歩のための諸目的に合致し」、「多くの国々から集まった教授陣と、多くの国々からの、また異なった文化的背景を持つ若い男女の学生からなる」ものと述べたのであった。しかし、先進国の多くは、すでに自国における主要大学が、十分に国際的な性格を有しているという理由のもと、この国際大学の設立に難色を示した。また、大学設立における巨額の出資金も、それに歯止めをかける一因だったといえる。その中で、日本の大学は当時、諸外国に比べ、きわめて国際性に乏しく、閉鎖的であった。そのため、国連大学を日本に誘致することによって、国際的で理想的な大学の在り方を模索することが期待されたのである。また、当時の内閣総理大臣、佐藤栄作首相は、国連中心外交の提唱者でもあり、国連機関の本部を誘致することは、国際社会に対する応分の貢献と考え、国連大学構想実現への積極的協力と、多額の拠出金を確約したのであった。その後、数年にわたる準備期間を経て、1973年国連総会は、国連大学憲章を採択した。憲章によれば、国連大学は、「研究・大学院レベルの研修および知識の普及に携わる、学者、研究者の国際共同体」とされている。そして、その活動内容は、「国際連合およびその専門機関が関心を寄せる、人類の存続、発展および福祉にかかわる緊急かつ世界的な問題の研究」とされた。これにより、国連大学は、キャンパスも教授陣も学生ももたないものとなり、当初期待された国際的教育機関というよりは、いわゆる学術研究組織となってしまったといわざるをえない。(2)今後の国連大学の在り方それでは、「学者・研究者の国際共同体」である国連大学が、国連の一機関として重要な役割を担うためにはどうすればよいであろうか。私はここで、国連大学の世界的位置づけの国連化を提唱したい。現在国連は、国際社会の中枢機関である。発足当時51ヶ国であった加盟国は、現在465