ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

3.国連大学の現在的問題点とあるべき位置今までみてきたように国連大学は研究者、学者の共同体を目指し形成された機関であるが、現在の問題として学界と国連大学がつながっているというよりは個々の学者、大学と嘱託的関係を有しているにすぎないことは前述した通りであるが、大学の活動自体が一般市民にまだまだみえてこないという問題もある。これでは当初の目的は果たせない上に存在意義も問われかねない。共同体を構築するためには、また有意性を高めるためにはどうしたらよいか。確かに共同体を目指すこと自体は良いことであるが、学者の知的貢献の可能性を彼らに託した単なる学者の仲良し共同体では意味がない。なぜならネットワークを形成しても、どういう組織であるべきかを明確化させなければ序言に述べたような成果の統一体は得られない。成果が散在化するという結末になるからである。そこで共同体の位置づけの再確認が必要となる。国連大学は政治からの自治を保ちながらも、国際機関としての有意性をもつために国連の目的達成ないし政策形成、運営に資するものである必要がある。すなわちシンクタンク的性質をもった協力体とすべきであると考える。どのようなシンクタンク機構とすべきであるかというと、ネットワークに参加する研究者を職員あるいはロスター制度のように登録研究者として広げてプールしておく、そして彼らがコンサルタントとして国際機関に助言を行う形にもっていくことを考えている。例えば国連開発計画(UNDP)に対しては国連大学内の開発担当のコンサルタントが、国連本部政治局に対し国際政治担当が助言していく、そういう人材を多分野にわたり確保し、国連及び関連諸機関のニーズに応える形で対応させていくのが望ましい。また特定の国に利し周辺に害を及ぼさないのであるなら途上国経済の底を引き上げるという意味で直接に開発に携わるのもよい(持続可能な開発のための活動計画である国連大学アジェンダ21も国、地域単位での戦略策定制度化を目標としている)。また国際法の専門家から構成される国際法委員会を国連大学と結合させることは、組織の集約化・国連大学の意義づけの強化につながるかもしれない。4542 1994年度に行われたものとしては、東、中央アフリカの紛争解決と民族問題に関する研修・国連大学地熱エネルギー研修プログラムの第16期コース・キリン・フェローシップに基づく農林水産省食品総合研究所での研修・天然資源の調査、開発、管理に遠隔探査技術を利用するための研修・自然災害軽減に関する研修が挙げられる。