ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第13回最優秀賞ユネスコと似たような国際的存在意義を担っている。選択された知識・情報が世の中に氾濫し、いかに多くの偏見と差別を生み出しているかは、よく問題になることであるが、これは純粋にメディアだけを基準にして情報収集を行った場合、どうしても起こり得る問題である。しかし、知識の情報収集が学習段階から出発したものであるならば、人は多くの選択肢を自分の手でかき集めることが可能であり、学術的な交流において市民が参加者になった場合、第3者的見地からの出発が可能である。先進国・途上国問はず、世界各国に国連大学直結の下部機関を設置し(その土地の大学などの強力も得て)、現地人の学者・市民の参加を広く求めてはどうか。現在、国連大学の出版物は、世界各地にある国連委託図書館に置かれている。もし、国連大学の支部のような施設ができれば、その一角に純粋に国連大学の出版物を置いた図書館を併設できる。地域の学界の連携の強化が、やがては世界の学界のネットワーク作りの強化につながる。その土地の人の声(意見)を学界そのものの活動にフィードバックさせる、知的レベルの交流を地域全体の協力のもとに行うのである。経済・開発研究において求められる要素は、グローバルかつ地域的な視点からということであろう。国連大学はその研究対象領域を既に5つ(1.普遍的価値と地球的責任2.世界経済と開発3.地球生命維持システム4.科学・技術の進歩5.人口ダイナミックスと福祉)を提案しているが、実はこれらの研究もその適用地域のシステムに組み込まれる形で実現されることが最も望ましい、ということである。すなわち、A国ではすんなり受け入れられた政策提言も、B国ではその政治的システムの違いや、民族性等の理由から受け入れられない場合もある。国連大学のような国際機関が取り持つことのメリットは、国際社会での共通の倫理・価値観を各国の状況をある程度考慮し、ならした上で公平な形として各国に再分配する権限があるということである。例えば国連大学が、その活動対象の領域として挙げている「人口ダイナミックスと福祉」は、国連加盟国それぞれの抱えている問題レベルが違う。具体的にいえば先進国は、高齢化と少産による若年層の減少に悩んでいるし、途上国では人口爆発と貧困による栄養失調431