ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

に大学の役割がある。ユネスコが教育・文化の道の専門的機関としても、科学の分野となるとその専門化の意味合いには、多少の違いが出てこよう。一口に文化・教育・科学といっても、人間の作っている社会のほとんどが結局はこの言葉につながってしまうような気がする。ユネスコだけでこの分野を統括するには、非常に奥が深い領域である。国連大学が学問・研究分野においての専門機関の役割を担うなら、現在ユネスコが抱えている膨大な仕事にも幾らかの管轄領域の整理・縮小を行うことができるのではないか。これは、国連全体で組織機能の効率化を計っていく上でも重要になってくる点である。国連大学が今後活動していくうえで、ユネスコとの関連も踏まえて一つ加えてみたらいいのではないかという問題がある。学術的研究機関としての見地から、情報関連の専門的研究を行っていくのはどうかというものである。これは1980年代に一度大きな論争を巻き起こした、新情報秩序問題に発端があり、先進国と途上国の間で起こった問題である。この件についての、1969年のユネスコのマスコミと社会に関する専門家会議の報告書によると、先進国と途上国の間の発展の格差、自由なニュースや情報の交流を真の互換ではなくて一方通行にしていると述べ、文化になじまない価値を運んでくる番組の破壊的な襲撃から、途上国の文化的独自性を守る必要があることが強調されている。3すなわち、通信衛星・新聞・テレビに代表されるマスメディアの発達した先進国と、識字率も以前ままならない途上国では、文化的・経済的交流における情報の公平性にかなりの開きができてしまい、結果として途上国の文化が侵害されるため、国際的な規制が必要なのではというものであった。こうした問題から「新国際情報秩序」が打ち立てられ、「マス・メディア宣言」など幾つかの憲章が採択されたが、実際は表現・言論の自由の問題などもかかわってくることであり、法律や文書で一概に規制することは出来ない。この問題が国際社会としての結論を完全には出しきらないうちに、1984年12月31日、アメリカはユネスコからの脱退を表明した。アメリカの言い分としては「現在のユネスコは過度に政治化している」との理由からであった。グローバル・コミュニケーションに関連する機関としては、ユネスコの他国際コミュニ4283「グローバル・コミュニケーション-新世界秩序を迎えたメディアの挑戦」ハワードH・フレデリックP.197 P.236参照