ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「国連大学を初めとする、国連の学術・研究部門と日本及び世界の学界との協力関係を強化・拡大するためにはどのような具体的方策が必要となるのか」松田江利子序章冷戦崩壊後の新しい国際秩序構築の展望において、今最も必要とされているものの一つとしてあげられる幅広い意味での『教育、文化、学術的活動の推進と浸透』は、地球の将来を大きく担うと同時に、これからの人類の課題を象徴する言葉なのではなかろうか。人間が共に手と手を取り合って、互いのことや国際社会全体について学んでいくことは、世界を人類共生の場とし、共通の価値・倫理観をこの地球上に作り上げていくうえで非常に重要なことである。そして、ユネスコ憲章で述べられているような平和の精神が、一人でも多くの人の心の中で目覚めの瞬間を迎えられるよう、人類に課せられた責務として日々努力していかねばならない。その中にあって、主権国家の政府を主体として構成される国連が世界平和を希求する国家間の連合組織であることは、地球の未来にとっても明るい兆しといえよう。国連は政治、経済、社会、文化的なあらゆる方面に対して、国際機関として何らかの関わりを持ち、ひいてはそれらの各部門を統括している。国連大学構想をいち早く提唱した故ウ・タント氏の理想には完璧には届かないまでも、その創設から20年たった今、国連大学が国際社会の中で静かに鼓動し始めたことは、大変喜ばしいことである。現在の国連大学は、当初の国連大学構想とはやや趣が異なり、教育機関というよりはむしろ学術機関としての色彩を強く呈している。私自身としては、国連大学が現在進もうとしている方向性に基本的には賛成で、この基本理念は大きく変わらないと思うし、また変わるべきではないと考える。ただ依然多くの点での改善が必要で、例えばいくら学術的な専門の研究機関といえども、その関連施設の立地場所の地域住民に422