ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回佳作何らかの理由で閣僚理事国が活動できない場合、あるいは決定に手間どるなどの事態が生じた場合、緊急特別総会での決議を「国連の結集権」として定立させ、国連事務総長と国連総会議長の連名で実践・行動に移せるようにしたい。既に「第二次中戦争」での「平和のための結集」が一つの事例となっているが、この教訓を制度化にいかすべきである。この決議は緊急性のある状況下でのいわば緊急避難的なものであり、この決議をあおぐ状況が生じない国際平和が保たれればなおよいことである。現在はこの緊急決議も安全保障理事会に付託することになっているが、改革案は事後報告義務にとどまるものであり、この緊急切迫下の平和維持・紛争処理活動を国際世論の多数の支持に基づいて合目的とする、数少ない国連総会の安全保障理事会に対する「優位性」(安全確保先議権)として、確立させたいと考えるものである。大国主義を超え、グラス・ルーツの声、地域連合、国家の隅々に息づく個人の叫び、願いを柔らかな自治体としての国家、地域機構、グループを通して、ある場合はそれを超えて発言(発現)してゆく道を探ることにもなろう。いずれにしても、いま世界で起きている事象は地球的規模であり、人類の共生の理念の下に、すべての人々、すべての機関が英知を結集して取り組まなければならない。やがて地球的規模から、さらに宇宙的規模での発想が理想ではなく、現実の日常性にも求められるようになるであろう。事実、既にいくつかの事例によってその序奏は始まっている。そうした中でも、国連が小さな力の結集の場、単位として、大きなカッコにくくる役割りを担うことになるであろう。単純に国家を連合させ、いっさいのことを営為するといった国際連邦的なものでなく、さまざまな機関、グループ、国家をブリッジしあい、それぞれの持つ主権の一部を預けあい、人類共成のための総有財産として役立てることが、二十一世紀の遅くても前半期に必要となってくるだろうと予想される。そのためにもわれわれは準備態勢に入らなければならない。まず小なる単位から基礎を固めて、それぞれがグラス・ルーツとしての風通しをよくし、ゆるやかにして弾力性、柔軟性を有する自治組織としての集団・組織として固め、それを最終的には国連という大き413