ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

なバランスを考慮すべきだが、それに加えて、NGO(非政府組織)の代表やEU(欧州連合)など地域的機構の参加も求めたい。国連が国家のみならず、民族や国民、あるいは市民まで、グラス・ルーツの息吹きを包み込む柔軟で弾力性のある豊かな創造性のある組織に作りかえていく必要がある。それに何よりも生きている人々の欲求や需要が多様化し、複雑化し、価値観の高次化、さらにはヒト、カネ、モノ、情報の国境を越えた流動が活発化する現実のなかでは、国家に固執した組織づくりや発想には無理がある。国境なき医師団(MSF)やさまざまなボランティアのグループを見るにつけ、彼らは既に国際的な広さの中で、国家を超えて人類の「共生」のために崇高な任務を遂行していることがよく分かる。閣僚理事国は安全保障について積極的に取り組み、国連事務総長をバックアップするわけであるから、その実力と意欲が問われる。国家として国連活動に十分協力できるパワーを具備するのはもちろんだが、日々の活動のなかでその持つ条件や資源を国際社会の発展のために使っているという貢献度もその資格審査として求められてもよいのではないだろうか。この審査には国家的エゴイズムやある種のイメージ偏向を避けるため、国連の事務当局と非政府組織・機構で構成する閣僚理事国資格審査委員会が当たるとよい。対象期間はその任期で、その活動実績が問われるわけであり、一定の評価を受けないと、閣僚理事国としての再任は許されず、一選任理事国の身分にとどまることにするのだ。審査は1平和2財政3軍事4経済・社会5環境-の五項目にし、それぞれを1ポイントから5ポイントで評価し、閣僚理事国としての有資格平均ポイントを定めて評価をくだすようにする。国際社会を主導するリーダー、エリートはおのずとその責任、義務を果たすノーブレス・オブリージュが求められるというわけである。国連総会の改革国連総会の決議の勧告事項を少なくし、より拘束力を強める工夫も必要であろう。加盟国への一定の強制がないと、国際世論を背景とする総会決議が実践力のないまま空洞化(空文化)する。412