ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回佳作ところが突然、国家の中に潜む頑迷な骨肉が飛び出してくる。宗教や民族の叫び声が絡らまり、市場経済の中でナショナル・インタレストが交錯し、文明の大らかさでなく、排他的な文化の摩擦や衝突も起こりうる。こうして、ポスト冷戦、ポスト覇権の世界のなかにあっても地域紛争、内戦争乱、新たなるテロリズムの恐怖から、われわれは自由でない。したがって国連の取り組むべき問題は増えるばかりであり、われわれは国連の弱点を補強し、十分に国際社会の平和と繁栄のために機能してもらうようにしなければならない。三.国連の機能を強めるために-国連改革こそ力の涵養である-先に指摘したように国連に今求むべき最大の機能(役割り)は1統合力2総合調整能力である。簡単にいえば、いかに平和を維持し、起こりうる戦争(紛争)の危険性を早期に取り除き、繁栄の至福、恩恵を世界万民に享受せしめるかということである。ガリ事務総長が言うように、国連の任務は、人類が安全で公平、創造的な時代を迎えるための「しっかりした基盤」を作ることでなければならない。そのために、私は現実的な問題処理を地道に進めると同時に、究極的には国連の改革-とりわけ、安全保障理事会と総会の大改革を図らなければならないと考える。四.国連改革の具体案国際連合は、第二次世界大戦の末期に、アメリカのサンフランシスコで、戦後の世界平和の機構をつくるため、連合国が集まり、国際連合憲章を採択し、終戦直後の一九四五年十月に憲章とともに成立した。戦後五十年の世界を導く国際機関としての半世紀の時間を刻んだ。当初の加盟国は第二次世界大戦の連合国五十一ヵ国であった。その後、次々と加盟国が増え、冷戦構造、東西の鋭いイデオロギー対立の「戦後」をくぐり抜けてきた。このように、誕生から国際連合は戦勝国側の対枢軸国対策的、覇権的構造を潜ませている。しかも、ユーナイテド・ネーションズ(United Nations)として、国家連合の性向が409