ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

係、そして、アジアのバランス・オブ・パワーという下部の枠組みにより内実を欠いたものとなりつつある。」と評している。30バランス・オブ・パワーの構造の働きの結果として生成されたものとしてレジームを捉えるのではなく、むしろその構造を克服すべく密な政治空間の発生の可能性が同地域においてますます高くなってきたことを示したかった。ようやく始動したばかりのARFの責任国として日本は再入亜を果たしつつあり、過去を反省する上でもさらに中国、北朝鮮などの脅威国を枠内で責任国家に転じせしめる義務が日本にはある。中国が脅威に写るのは同国が外交政策と防衛政策を明確化していないからであり、また期待される行動パターンが見えないからである。レジームがそれらを保証し、脅威国にある程度の行動の制限が見られたときにそのレジームは実行的な機能を持ったと言える、しかしながら、まだARFは宣告的なレジームにすぎず、これからの発展に我々は期待せざるを得ないのだが、その発展のもっともな原動力は「信頼醸成」の程度である。日本は枠内における「信頼醸成」部門の責任国である。ARFに期待するということはつまり今後の日本外交に期待するということにほかならない。その意味でARFを論ずることは日本外交の今後を論ずることだといっても差し支えないのではないかと思っている。40430“Foreign Affairs”, November/December, 1994.