ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

それを支えるべきレジームの重要性が唱えられ、さらにその常設化への機運が同地域に高まりつつあるという現状である。J.ドネリーによるとレジームの規範(norms)、基準(standards)、あるいはルールといったものには国際的なものから純に国内的なものまで四タイプに類別できる。21つまりa)権威的な国際的規範。b)自国で選択した国家義務の免除に伴った国際的基準。c)国際的な指標(International Guidelines)。d)国家的な基準(レジームのノルマなし)がそうである。さらに氏は国際的な決定作成行為の三タイプとして国際的規範の強制(enforcing)、国際的基準の実行(implementing)、そしてそれらの受理や強制の奨励(Promoting)を挙げている。次にすくなくとも六つの重要なレジーム決定作成過程のタイプがある。e)権威的な国際決定の作成。これは制度化され、決定作成を束縛し、効果的な強制力を含んでいるものである。f)国際的な監査。正式な国際的な国家行動の調査。ただし、権威的な強制はない。g)国際的な政策協調。より大きな国家政策の協調到達のために国際フォーラムを定期的に期待されるかたちで用いる。h)国際的な情報交換。レジームの規範に関して、他国家にある国家の行為を伝えるための義務的、あるいは強く期待された国際的チャンネルの使用。i)国際的な奨励あるいは援助。j)国家的な決定作成。問題領域の決定作成における完全なる国家の主権。以上のa)~d)を要素にした「レジームの規範」の軸、またe)~j)の「レジームの決定作成過程」を要素にした軸。それぞれの組み合わせによって国際レジームのさまざまな種類が考えられている。それぞれに程度の強弱があり、明確に線引きは不可能なものの、1)強制的なレジーム、2)実行的なレジーム、3)奨励的なレジーム、4)宣告的なレジームに大別され、a)~j)のそれぞれの濃淡によってさらに類別されていく。強制的なレジームは国際的な決定作成と国際的な監査がより強度に行われるものであり、実行的なレジームとは弱い監査の過程、政策協調、情報交換のある形をとるものである。奨励的なレジームは国際的な情報交換、奨励、援助、国際的な指標の弱い監査までも含んでいる。また宣告的レジームとは国際的な規範を含むものではあるが、その規範の創出以外に国際的な決定の作成はないものとされる。39621 Jack Donnelly,“International human rights: a regime analysis,”International Organization 40. 3(Summer 1986).