ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

新しい情況に自らの行為を適合させることを許容し得る関係を機能させるようにと意図されているということである。」6さらに単純にパターン化された行動をレジームと同等視することもあるようであるが、一般的にはよりフォーマルな、部分的には条約を含むルールのセットとして定義されるようである。7しかし国際レジームは“institutions”とは区別されなければならず、前者のほうがより多国間の論争の場としての意味合いが強くなる。また“order”や“stability”などの概念からも距離があり、レジームは確かにそれらを促進するや知れないが、同一線上にはないと考えられる。8政治的レジームには経済的レジームとしてのGATT(WTO)のような典型的なケースは少なく、なかなかイメージしにくいのだが、K. J.ホルスティの言うように「基準の設定、義務、割り当て(バードン・シェアリング)、禁止」の四項目を共通項としてまずは考えておきたい。9次においてはこのレジームを分析する手法として想定される視点を紹介しつつ、より議論を深めていこうと思う。国際レジームにアプローチするには以下の四つが考えられる。101)構造主義的な説明2)ゲーム理論的な説明3)認識論的な説明4)機能的な理論による説明まず、1)は覇権安定説を含むもので、ヘゲモニー国家の繁栄と国際秩序の安定、またその衰退と国際環境の不安定を結びつける考えであり、その流れにあってはレジーム分析の最重要課題はレジーム形成に至る国家のパワー配分の把握ということになる。ゲームの理論を応用しレジームの生成・維持・崩壊のメカニズムを解明しようとするのが2)であり、国家間のゲームの構造にアクターは束縛されていることがここで強調される。3)の認識論的視座に立つと、レジームはイデオロギーや各国家の一致した知識によって条件づけられ、アクターの学習によって進化するものと考えられる。では4)の機能的な説明手法であるが、先に結論を言うならば、私はアジア・太平洋地域に芽生えつつある国際安全保障のレジームの可能性をこの機能的な理解に従って探りたいと思う。認識論的な解釈の中に3906 Robert O. Keohane,“After Hegemony”Princeton University Press, 1984, p. 89.7山本吉宣『国際的相互依存』東京学術出版会1989年156頁。8 Stephan Haggard and Beth A. Simmons,“Theories of international regimes,”International Organization 41, 3(Summer1987), p. 496.9 K. J .Holsti,“International Politics Sixth Edition”Prentice-Hall International. Inc. 1992.10 S. Haggard and B. Simmons, p. 499.