ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「アジア安保と日米安保-国際レジームの可能性-」松尾寛要約大平洋・アジア地域にもようやく安全保障レジーム形成の動きが見られ始めるようになった。昨年7月に催され、常設機構化への第一歩を踏みだしたASEAN地域フォーラム(ARF)がそれである。まだまだ「宣告的なレジーム」にすぎないのではあるが、まずはその国際レジームの概念そのものから考えることにしようと思う。国際レジームの解釈はさまざまにあるが一般的にはよりフォーマルな、部分的には条約を含むルールのセットとして定義され得る。また、K. J.ホルスティに従って「基準の設定・義務・割り当て・禁止」の四項目は共通項として考えておきたい。さらに議論を進めるべくその国際レジームにアプローチする手段として1)構造主義的な説明4)機能主義的な説明を代表例に考えることにする。構造主義的な説明に拠るとレジーム分析の課題はレジーム形成に至る国家のパワー配分ということになり、それは覇権安定説を含む理論である。例えば、最近話題を呼んだC.ジョンソン、J.ナイによる日米安保論争における両者の共通する思考の枠組みは構造主義的な説明にあるのではないだろうか。前者は日本をアジアの中へバランサーとして出すという勢力均衡的な政策を、後者は米国の対アジア政策を二国間同盟システム中心に考え、地域レジームは形成されたとしてもあくまでも米国のリーダシップ補完のためであるとしているからである。しかし、私は冷戦後・覇権後のアジア地域にあってはこういったパワー構造の結果としてレジームを考える構造的説明に立つのではなく、むしろ機能的なアプローチに拠った方がいいのではないかと思う。386