ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回優秀賞低限に押さえられることにある。この被害は人的被害も金銭的被害も含まれる。一度紛争が生じれば、それは後々まで火種を残し、相対的な被害も大きい。また、国際秩序を乱すものにもなりかねない。それを未然に防ごうという案である。2.三権分立また、国連においても三権分立の原則であるチェックアンドバランスのシステムを確立する必要があるのではないか。民主主義的前提であるこのシステムによって権力の集中や不理解から生じた地域の内部事情の誤解などを防ごうとする考えからである。ここで、国連に民主主義を採用する是非が問われるだろうが、国家主権の点から視ても特に国連における権力の集中は認めるべきではない。国民国家における国家主権を重視する視点からもチェックアンドバランスのシステムの採用は有効であるといえる。現在、国連において行政権は事務局に、立法権は総会、事実上安全保障理事会に、司法権は国際司法裁判所に委ねられている。しかし今現在、司法権において国際司法裁判所の判決が強制力を持ち合わせていないため、事実上の立法権の機能である拒否権に太刀打ちできず意思決定の場に多少なりとも歪みをあたえている。それでは管理をつかさどる器官としての役割を十分果たしえるとはいいにくい。今後、チェックアンドバランスのシステムの確立が求められる。おわりに地域統合の勢いが増すなか、今後も他の国際機構との位置付けが焦点となる。アジア・太平洋経済協力という地域的国際機構の一つをとってみても特に貿易関連の部分においてガットのウルグアイ・ラウンドの決定事項や九五年今年発足した世界貿易機構などとの兼ね合いに頭を悩ませている。また今後、欧州連合や北米自由貿易協定との関わりあいにも論議が及ぶと考えられる。一方、アジア・太平洋経済協力域内での地域格差も大きな問題の一つとなっている。よって、今だに地域内関税貿易自由化の期限設定に反対の意を示している国もある。また、環境問題などにおいては技術の発展段階における国々が多数存在363