ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

流れとともに時代の流れにそぐわなくなった組織内のシステムにおいても様々な変革を遂げている。欧州連合においてもその意思決定方式が全会一致制から多数決制へと移行したことやアジア・太平洋経済協力の主旨が九三年のシアトル会議を機に地域内貿易自由化を目指すことを決定したことにも見受けられる。システムとは時代とともに絶えず変化するものである。そして、今新たな世界秩序とともにその変革に迫られている。そこで、求められる新たなシステムとは、国連や地域的国際機構、政府からの派生機関である国際組織、非政府間組織などの連携といった協力体制を基礎とした「多枠組み重層型」である。今後政府・民間といった枠組みを超えて協調を図っていく必要がある。またその根底には相互依存や共生といった観念が根付いている。つまり、新たなシステムとは相互の「信頼」を基盤としてなりたっていくものと考えられる。近年、NGOの活動成果が評価され、既に政府との協調体制を取りはじめている組織も多い。タイにある売春婦のための職業訓練センターの設立資金の一部は駐タイ大使の力添えで実現し、外務省の「草の根無償資金」や郵政省による「国際ボランティア貯金」等々によって資金援助を受けているNGOも多いと聞く。また、草の根レベル同士での交流や情報交換も欠かせない。今後、ますますこの多枠組み重層間での交流が不可欠となるであろう。*国連としての改革1.危機管理国連は多枠組み重層構造型の一つであり、マクロ的視野で管理をつかさどる機関であるといえよう。そこで国連は効率のよい管理の在り方を問われるようになる。それは、ミクロ的側面である草の根ネットワークと接触したうえでの危機管理の在り方である。具体的には危機管理のための専門機関を設け、通常からネットワーク作りに取り組み、危機に対する備え、防衛手続きなどを常時手懸けること。これがひいては予防外交に手腕を発揮することとなる。かつて国連において予防外交の必要性が問われてきたが実行には移されないままとなっていることは周知のとおりである。そもそも予防外交の有効性は、被害が最362