ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回優秀賞ら考えると西側的論理や従来の常識が通用しない領域であっても世界各地域の内部事情の理解が大いに役立つと考えられる。経済的側面に関しては、GATTのウルグアイ・ラウンドやWTOの規定が保護主義の台頭に歯止めをかけるのに役立っている。地域統合の動きが高まるなか地域的国際機構の果たす役割が大きくなっている。*その他の機関との連携地域的国際機構以外の国際組織との連携を考える際、国連食糧農業機関や北大西洋条約機構などといった国連や政府間からの派生機関としての国際組織とNGOを中心とした非政府間組織としてのそれに分類される。ここで注目に値すべきことは前者はトップダウン的視野を持った組織であり、後者はボトムアップ的視野を携えていることである。物事を考える際、とかくミクロ的視点とマクロ的視点は対立しやすく、時として論争を呼び起こすこともある。しかし概念としては「一つ」であり、接点はどこかに存在する。ミクロ的視点をなおざりにしたままでは全体としても捉えることができないからである。先に述べた教育や自助援助の在り方一つをとってみてもミクロ的視野での一例に過ぎない。しかし全世界人口の約八割を占める発展途上国の状況から考えてもミクロ的側面を考慮する必要があるのは必至である。物事には多くの側面や背景が存在する。そのなかで上下双方の視点から模索することは、問題解決に当たって不可避であろう。また今後、政府からの派生組織と非政府間組織との連携は地域的国際機構と同様、地域の内部事情を理解するといった側面からも不可欠であろう。*新たなシステムへの模索一六世紀半ばウエストファリア条約が調印され現代の国際システムの原型が成立してから世界は様々な変容を遂げた。国際組織においては、国境を越えて相互に依存する社会の中で国ごとが「国際機構を通しての外交」(‥横山洋三編著『国際機構論』国際書院一九九二p.27-つまり一国では実現できない自国の外交目的をその機構の決議や活動を通して実現を目指す外交の在り方)に重点を置くようになってきたことである。だからこそ近年、地域的国際機構の占める役割が大きくなってきているのである。また、歴史の361