ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回優秀賞タイ政府においても、教育・人材育成が国の発展・開発に不可欠との立場から九五年今年、教育制度改革に乗り出した。1義務教育六年制から九年制へ2幼児教育の必要性から義務教育以前のこどもに教育の機会を与える3戸籍や住民票を取得していないために教育を受けられないこどもに対して住民票にかわる証明書があれば学校に通うことができるよう対応するなどである。経済的側面においてタイの余剰労働者数は経済発展のためには非効率的だとされているが、経済効率化のための「出稼ぎ」はこども達にも様々な影響を与えてきた。それもタイ政府の3の政策によってこどもへの教育に対する弊害も次第に減少するであろうと考えられる。一方、都市に比べて幼児人口の少ない農村などにおいて特に人材の側面から考えても2のようなシステムがすぐに浸透するとは考えられないが、それでもこの教育制度の改革は「自助努力」の点から考えてみても国が発展するための一つのステップであり、評価に値することであろう。今後、各開発途上国においてこのような教育制度改革を推し進めることが貧困の撲滅・紛争の発生原因を断つことにつながり、世界によりよい秩序をもたらすことにもなっていく。つまり、教育のレベルが高くなることはその国だけの利益にとどまらず世界全体の利益にもつながるのである。教育とは、ミクロ的な活動がマクロ的にも大きな影響を与えることになる一つの例であるということができよう。一方、我々自身も異なる常識が存在することを認識する必要がある。さもなければ以降に述べる地域的国際機構内での統合は不可能となるであろう。国境の枠組みを超えて相互に依存する社会において、また、「共生」を図るためには、相互認識が前提となるのは言うまでもない。二.国際的視野*国連と地域的国際機構との連携「情報・交通の発達により国境は意味を成さなくなっている」といわれて久しいが、国連加盟国一つ一つを取ってみても文化や政策方針などの相違は大きく、多種多様な国家がこの世界には存在する。その国一国一国が国民国家としての主権を携えている。そのため359