ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回優秀賞主義の制約は次第に小さくなりつつあるが、それも衡平原則の下で相応の負担が認められるようになった(特に最近の環境保護関係の多国間条約。)程度であり、積極的な格差是正までを規定するには未だ先進諸国の抵抗が大きく困難が伴う。しかしながら、この点は国際社会の一般利益を追及するという観点から徐々に改善されてゆくべきであり、94年にようやく発行した国連海洋法条約の新海底に関する規定等に進歩が見られる。なお、近年の開発経済学における変化は、対象国に合わせたオーダー・メイドの開発計画の作定に重きを置く事である。従来はともすれば欧米型の市場経済を一律に強制するのみであったが、最近は現状の非市場経済システムの性質を理解した上で最適な市場経済の導入手順が検討されるようになりつつある。東アジアの様な高度成長を示す地域がある一方で、低迷を続ける地域が残るのは、その国の国情に適合した開発が行われるか否かによると思われ、その点で国際組織の対応は比較的鈍い。3結論21世紀の国際社会の姿と国際連合に期待される役割ともすれば忘れてしまいがちだが、私達は脈々と息づく先人達の歩んだ道のりを引き継ぎ、今まさに、自分達の手で新たな歴史の1ページを記そうとしている。18世紀後半に欧州で始まった産業革命はピューリタニズム=近代資本主義の精神の土壌上で育まれ、英国の時代、合衆国の時代を経て、経済の飛躍的発展のなかで一般市民の生活水準の劇的な向上をもたらした。また一方では、「個人の尊厳」を核とする基本的人権が普遍化・実質化され、市場主義・民主主義の国家形態が代替物を許さないシステムとしてその成熟度を増している。それでは、来世紀の国際社会のあり得べき姿と、国際連合に求められる役割はどの様なものだろうか。20世紀の政治経済システムの構造はその殆ど全てを欧州・キリスト教文化圏に負うものであった。それらの効率性は他の文化圏の代替物を圧倒し、好むと好まざるとを関わらず世界全体に受け入れられていった。が、近年のアジア圏の台頭は、それらを受け入れ経351