ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「国際社会における実定国際法下の制約と国連に期待される役割」松永侯映1総論国際法的観点から見た国際社会の変化と個別的国際協調の限界19世紀から20世紀に至る国際社会の基調的変化を国際法的観点から捉えるならば、相互主義の制約下での消極的関係から、特定の共通利益の追及を目的とした積極的関係への変化として大きく描く事ができる。つまり、互いの国家主権を尊重する事を第一として、相互に同程度の受忍が求められる限りでの法的関係のみが認定された時代から、より積極的に国際社会の一般利益を実現するために国力相応の負担を課す国際法が定立されるようになるまでの変化である。そして、その積極的国際関係の設定にあたっては、目的と任務に応じて各加盟国の国家管轄権の一部の譲渡を伴う国際組織を設立し、加盟国全体に客観的統制を及ぼすという方法が採られた。IMF、WHO等例を挙げればきりがないが、なかでも国際連合は185の加盟国を擁する普遍性を持ち、国連憲章第1条に掲げられる様に、平和と安全の維持、民族自決と諸国間の有効の促進、経済的社会的他の国際問題の解決及び基本的人権の尊重に関する国際協力、の目的のための多面的総合的な国際協調の調整役として、中心的な役割を果たす事が期待されている。しかしながら現在でもなお、個別的国家関係においては主権独立の原則が重視されるため、たとえ国際社会の一般利益に明確に反するような事例に対しても、個別的な抗議は内政不干渉の原則との関係で有効に働く事が少ない。そのため、国際組織を通じて国際社会全体としての反対の意思を示す事が求められる。例えば、現在フランスの核実験再開が国際的な問題となっているが、個別的な外国の346