ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「国際社会における実定国際法下の制約と国連に期待される役割」松永侯映要約今世紀に入って国際法は相互主義的な消極的内容からより積極的な国際協調を目指す内容へと大きく変化した。その中で多くの国際組織が設立されたが、なかでも国連は唯一の総合的普遍的な国際組織としての特色を持つため、固有の役割を担っている。それは、国際社会の一般利益の所在を特定し、追及するというもので、決議の客観性故に可能となる。実定国際法下において国際組織の権能は柔軟性に優れ、一国の国家管轄権内にある事項に対しても国際社会全体の意思を代弁する事である程度まで干渉する事が可能となる。安全保障分野においては平和創造の手法の改良が提案されている。先ずICJによる一般的な管轄権の設定には国際法の内容の成熟に伴う時間が必要である。次に経済的援助を通じての紛争解決への試みは有効に働く事が予想される。軍事力の行使については、現在の多国籍軍方式の不安定性が懸念され、将来的には憲章第43条に基づく特別協定が締結されるべきである。平和実施部隊はその性質上の制約により中途半端な実力行使がなされるが、これは逆効果となり得る。平和維持活動は現在までに多様な形態での成功を収めており、これからもより効果的に継続される事が望ましい。経済的社会的な開発分野では、国際法上の実質的な主権平等原則の実現という観点からも南北問題の早期の改善が求められる。開発問題に取り組む事は、平和と安全の維持を推進する事にもつながり、両者は相互依存の関係にある。南北格差の積極的な是正のための規定を国際法上設ける事には未だ先進国の抵抗が大きいが、徐々に改善されつつはある。近年の経済開発においては、対象国の事情に応じたオーダー・メイドの計画が考案される344