ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

要があろう。また、逆に強制徴収システムの構築に当たって、多国籍企業等の内で影響力の大きい、一定レベル以上の規模を有するものを算定分母に含めることも検討課題であり、世界の基盤安定によって得ている利益に対し、応分の負担を課してもよいのではないかと思う次第である。(3)国連総会の権限強化国連が国際社会の中心的存在として機能していくためには、国際社会構成員の民意を反映する仕組みの整備、民主化が必須条件である。その観点から、総会を国連の最重要機関として位置づけ、安全保障理事会などの他の傘下機関の理事の選任・罷免する権限等も含め、諸活動を統制するものとなるように強化されることが望ましい。加盟国数の増加を勘案すると、全体の意見集約を国連の意思決定の要件とすることは、所要時間を膨らませ活動効率を低下させるとの懸念があるとしても、情報ネットの発達・コミュニケーション機会の増進が、時間的ロスを相当補い得るであろうし、影響力の大きさを考慮するとコンセンサス形成に必要な手間を惜しむことは適切とは言えまい。民意の集約システムとしての総会の現行の表決方法は、憲章前文の大小各国の同権という理念に沿って、同第18条により1カ国1票とされている。しかし、これは主権国家間の平等原則を示したものである一方、人類が唯一共通の目標化しうる人間の尊厳・平等に基づいた目線の高さから考えると、真に公平なシステムかどうかという疑問も生じ、過渡的な形態であるとも位置づけられる。世界規模での民主政治の中心としての国連を論じる場合、国家レベルの権利の段階にずっととどまるのではなく、地球市民という視点からのシステム構築も見通したものでなければならない。そうしたレベルから考察していくと、将来的には国連総会は、加盟各国を選挙区として人口比に応じて割り当てられた定数の代議員を送り込むという、世界政府の国会としての役割が求められることとなる。338