ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回最優秀賞第四には、これらの共通の目的に当たって諸国の行動を調和する中心的存在となること(第1条第3号)である。こうした基本理念そのものは、国際情勢の変化に拘らず、今後も国連の目的として継承されていくであろうことは、ほぼ異論のないところである。唯、国際問題の範囲は各国家間の相互関連性の高まりによって拡大しており、前述の理念を単なる理念に終わらせず実現に向けて、諸問題を解決していくためには、国連が一層大きな権限と実力を備えなければならなくなっている。従って、新たな国連に期待される姿は、理念としては、ガリ事務総長の提唱するように「大きな国連」であり「アクティブな国連」でなければならない筈であろう。そして、そうした体制を真に実効性のあるものとし、国連を中心とする世界システムを確立していくために、人類の連帯感に基づいて加盟各国が積極的にサポートしていく体制を整えることが重要な要件となってこよう。(2)財政基盤の確立強化国連が、世界システムの中心的存在として体制を整え運営されるためには、先ず財政面(人的負担を含む)での基盤が確立されることが前提条件となる。国連がその活動に要するコストには、1国連事務局の人件費や会議費等の一般会計、2国連平和維持活動(PKO)などに伴う特別会計、3人道、開発援助等の活動経費、の3タイプがあり、これらのコストは先進諸国を中心にそれぞれの分担率に応じて負担されることとなっているが、現状は残念ながら常に逼迫状態に追い込まれている。こうした状況を脱し、国連に期待される機能を発揮していくために、負担金を徴収するルールを強化・再確立することが不可欠である。その具体的試案としては、必要な予算額を策定・承認する手続きを透明且つ合理的なものとし、更に運営に関する監査機能を強化することを前提に、徴収システムを強化することが考えられる。いわば一種の地球税を各国のGDP等にリンクして課すことであるが、その際には、一定の経済規模に満たない国家には免除や猶予を付すこと等も考慮される必337