ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

もまた深刻さを加え、環境・資源問題、人口問題、貧困問題、人権問題、難民問題、エイズ問題、麻薬・銃規制問題、国際テロ等に対する取り組みを国際社会の共通課題として対処することを必須要件としている。すなわち、国際経済・情報・科学技術のネットワーク化の発達は、世界の趨勢から隔離された一国のみでの平和と繁栄が成立する可能性を否定し、世界レベルでの対応システムの構築を要請している。そして、既に触れたとおり、成功や勝利を至上命題とする競争により孤独化・分散化に向かう社会のなかで、緊張や失敗が常態であるような世界を回避するため、社会的統合を増進する秩序や目標が、確立されることが必要となっている。そのために、国連の果たすべき役割は未だ十分に整理されているとは言えないものの、現在の国家主権からの多くの制約を減少し、より世界の中心機構として活動を展開していけるよう権限の強化を図る必要があることは論を待たないものと思われる。そのなかで国連を支える諸機関の役割機能の整備や、NGO・多国籍企業などの主権国家以外の主体を含めての意見反映、利害調整の機能を発揮していくメカニズムを整えることが肝要となってこよう。国連の存在目的を、その憲章にそって再確認してみると、第一には、国際の平和及び安全を維持すること(第1条第1号)であり、そのために平和の破壊を防止・鎮圧するために有効な集団的措置をとり、外交談判・審査・調停・司法的解決などの平和的手段が講じられること(第33条)、更にそれが成功しなかった場合には安全保障理事会による解決が図られること(第37条)である。第二には、人民の同権及び自決の尊重の原則に基礎をおいて、国家間の友好関係を促進すること、そして世界平和のために適当な措置をとること(第1条第2号)である。第三には、経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決し、人権・宗教による差別をなくすとともに、人権及び基本的自由を尊重することについて国際的協力を達成すること(第1条第3号)である。336