ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回最優秀賞る1主権平等、2憲章に基づく義務の誠実履行、3国際紛争の平和的な解決、4武力による威嚇および武力の行使の禁止、5内政不干渉、を遵守しているかということであり、国連が真に国際的平和維持機構として機能しているか否かをはかる尺度である。国連は、上述の目標を追求するための「集団安全保障機構」として、1950年の朝鮮戦争に国連軍を出動して以来、数度にわたる強制行動の措置をとった。最近の例としては、1991年湾岸危機の際の多国籍軍、翌年のソマリアにおける多国籍軍、さらに94年のハイチ多国籍軍およびルワンダ多国籍軍があるが、いずれも加盟各国の軍事行動が安保理によりオーソライズされ、国連憲章第7章に基づく正規の行動と認知されている。しかし、国連憲章第7章に規定された本格的な集団安全保障としての、国連軍(同第42条および第43条)による軍事的な強制措置として発動された経験はない。そのため、この領域で、国連の信認の強化と機能整備をめざして、ガリ事務総長は1992年6月、「平和のための課題」を意気揚々と発表し、その理念の具現化に向けて、平和執行部隊の創設や、PKO等の国連組織の予防的な展開を含めた投入の提案など、積極的な試みが続けられた。その後、ソマリアでの人道目的で介入した多国籍軍が中立性への疑念から挫折し、ボスニアのPKOも解決の糸口を見出せないまま撤退を余儀なくされるなど、ガリ事務総長の失意とともに国連の安全保障機能に対する信頼性を危うくしているのが現状である。国連の目標である「国際の平和と安全」を維持する上での、具体的手法を巡る試行錯誤は未だ当分の間、解を見出せそうにない。2.新たな国連中心主義への試案(1)国連を中心とする世界システムの確立人類の平和と安全を脅かすものは、ひとり武力・軍事兵器のみに限ったことではなく、経済的貧困、社会的弾圧、政治的暴力、伝染病・麻薬の蔓延などが看過しえない脅威となる事態も、長い歴史のなかで繰り返し体験されてきた。そして、各国の交流・相互依存関係が世界規模に達した今日、これらの非軍事的な脅威335