ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「新時代の国連の役割考」第12回最優秀賞中島敬方1.20世紀の教訓から(1)うつむき加減の国連の現況ベルリンの壁の崩壊は、20世紀の後半の世界を覆っていた重苦しい冷戦時代の終焉を告げ、それまでの米ソ両陣営を軸とした力の論理による秩序にかえて、新たな次元での世界システムへの展望が開かれるものとの期待が高まった。それは、今世紀中に人類が経験した二つの壮大な実験の悲惨な失敗例、すなわち全体主義と共産主義の破綻を糧に、より人類の安全と厚生につながるビジョンへの待望感であり、そこには新たな世界における国連の役割機能と各国のベクトルが合致し、より強固な連帯の輪を構築したいとの悲願でもあった。しかし、それから5年有余を経過した現在、国連の積極的な活動に関しても、カンボジア、モザンピーク等の成功例がある一方、ソマリアやボスニアなどの挫折により国連が抱える様々な問題が噴出している。そうした各地での民族紛争・地域紛争を解決する処方箋を見出しえないことから、早くも国連に対する幻滅ムードが蔓延しはじめている。しかも、それらの紛争の多くが、これまでのように国境線を跨がるものではなく、一見国内問題化していること、その反面、経済・情報を通じて国際的相互関係が深まる状況の下で、人道的問題や人権及び基本的自由の尊重が、世界共通の関心として認識が普遍化するにつれて、国連をはじめとする国際機関も従来の延長線上の発想からでは、対応困難な状況に追い込まれている。(2)「競争」と「連帯」の人類史顧みると人類の歴史は、諍いの歴史であると同時に、平和の創出に向けた試行錯誤の積331