ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「新時代の国連の役割考」第12回最優秀賞中島敬方要約ベルリンの壁の崩壊に象徴されるポスト冷戦時代を迎えたのを機に、それまでの米ソ対立軸により規定されていた世界秩序が、今度こそ国連を中心として新たに構築されるものと期待が高まった。しかし、5年有余を経過した現在、国連が抱える様々な困難が噴出するにいたって、かえって幻滅ムードすら蔓延しはじめている。その原因として、PKOの不調、財政危機、大国主導の運営体制への不満等が指摘されている。更に根本的には、国連の理念と役割に対する各国の信認と協調姿勢の不十分さゆえに生じている機能不全の問題であろう。その背景には、競争意識および連帯意識の在り方が、旧態依然の原理に支配されていることに基づく悪弊があるものと思われる。来る21世紀には、そうした「競争」が「連帯」に優先する世界に終止符を打ち、人類の連帯を基盤にした社会において、公正かつ平和なルールに則って爽やかな競争が展開される世界システムを確立したいものである。そして、そのシステムを支える骨格部分として、国連を再生し本来の理念を実現する力を取り戻すよう大胆なモデルチェンジが望まれるところである。具体的な試案としては、安保理常任理事国に集中しすぎている権限を分散させるとともに、国連総会の権限の強化等とより広く開かれた民主的運営体制を整備し、更に加盟各国の啓蒙とコンセンサスつくりを通じて、紛争の武力解決の道を廃絶していくため国際司法裁判所の権限強化、武器・兵器の管理統制の国連への集中化等を推進していくことを、挑戦すべき姿として提案したい。329