ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

なければならない。憲章前文の主語は「われら連合国の人民は・・・」となっている。したがって、国連憲章にうたわれていることは、すべて「連合国の人民」についてのことである。「一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害」(憲章前文)は、なにも「連合国の人民」だけにあったのではない。「連合国」以外の人民も、戦争の惨害に苦しめられたのである。こうした苦痛と恐怖から解放を願っているのは「連合国」以外の人民も同じであり、これはすべての人々が希求しているのである。「基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認したい」(同前文)ことについても、同様である。国連憲章の前文・その他の内容は、「戦勝国」体質を払拭し偏狭なナショナリズムを克服しなければならない。超国家的な理念が求められている新時代にふさわしい内容と整合するように改定されなければならない。第1章の第一で述べたように、旧敵国条項は第二次大戦の遺物を象徴するものであり、廃止しなければならない。旧敵国条項は、第二次大戦の旧枢軸国に対する軍事行動には安保理の許可が必要とした第53条と戦勝国旧敵国に戦争の結果として結んだ協定などは憲章のあらゆる規定に優越するなどとした第107条を指す。旧敵国条項の削除に向けた初の国連総会決議案が、本年11月に開催された国連総会第六委員会で採択された。これを受け、国連の憲章特別委員会が次期総会に同条項の削除を勧告するとみられる。決議案は、前文で旧敵国条項は対象国が加盟国となる中で「時代遅れのものになった」と指摘したうえで、本文では憲章特別委員会に対し「次期国連総会にこの問題についてのもっとも適切な法的措置を勧告する」よう要請している。決議案に「法的措置」と明記されていることから、同条項を削除する憲章改正を勧告するものとみられる」こうした動向は、時宜にかなったものであり支持できる。322