ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回努力賞第一~第三の点について、次項以下で詳しく述べることにする。4.国連への民衆の参加ガリ国連事務総長は1992年6月に提出の報告書「平和への課題」の中で、NGOなど民衆の果たす重要性について全世界に向け次のように呼びかけた。「最も大きな意味での平和は、国連システム、あるいは加盟国政府だけによっては達成できない。NGO、学術機関、国会議員、実業界、職業団体、マスコミ、そうした人民大衆全てを参加させなければならない。これによって国連の機能が強化され、もっと広範囲における国連支持者の懸念や関心を反映することは可能になり、さらに、より参加することにより国連の主唱する目的を広く人びとに知らしめ、その活動についてより深い理解を築くことができる。」国連憲章は第71条で、NGOがオブザーバーとして経済社会理事会へ参加することを認めているが、安保理や国連総会への参加は認められていない。ガリ氏の呼びかけにもあるように、市民と国連を結ぶNGOの役割を新たに再考し、より効果を高める協力体制を構築することが重要になってきている。ところで、国連という政府機関に国際市民のNGOを連結させている狙いは何か。それは国連が採択する決定や事業に幅広く世界市民の声を反映させ、普遍性を増し権威を持たせることである。そうすることによって、国連の目的や原則の実現に向かって前進することになる。NGOは人民間と政府間と国連に深く関わり、政府側に国連の決定に沿って政治を行わせる重要な役割を担っているのである。人権分野での著しい国連の成果は、国際・国内NGOの活躍によるものであった。例えば、女子差別撤廃条約(1979)の採択であり、日本のそれへの批准(1985)がある。その結果、男女雇用機会均等法の成立をみた。人権分野でもう一つ顕著な成果を挙げているものに、国連人権委員会で個人やNGOからの人権侵害の訴えを審査する通報制度がある。これによって一国内の人権問題も国際社315