ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
314/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている314ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

など、これらの諸問題の多くは「貧困」をベースにした途上国と先進国の相互浸透から生じる深刻な問題であり、主権国家を超えて解決が求められている問題である。国際機構は元来、国家間の協議や交渉の場を提供するだけでなく、加盟国の協力の枠組みとして、あるいは外交政策の道具として進化発展してきた。しかし、世界史的変容を迎えた新時代においては、国連はその加盟国の国益追求を越えた人類全体の利益を追求する独自の行動主体として、歴史の担い手となって意義ある貢献を行うことが期待される。このような時代の要請に応えて国連を強化していくことが必要である。具体的には、安保理は後述するように改革して存続させる。安保理以外の理事会として、「環境保全対策理事会」「食糧・人口・難民対策理事会」「人権保障理事会」「健康・エイズ対策理事会」を新設する。これらの理事会はそれぞれ最も直接利害を持ち、問題解決に貢献する能力のある国々をメンバーとする。これらの理事会は、生起している諸問題に多角的にアプローチするため、政策立案、政策の決定及び実施の確保に権限を持つ行動主体たるべきである。また、現存する経済社会理事会は貧困と経済問題に限定し担当する。新設する各種理事会及び経済社会理事会には安保理事会なみの権限を付与し、安保理事会と同様に常任理事国制度を設け安保理事会と同等の位置づけにする。このような権限と機能が付与された各種理事会を創設することによって、従来の「紛争処理に主眼をおく」国連ではなく、今後は「紛争下に原因の除去に主眼をおく」国連にしなくてはならない。そのためには、各種理事会が紛争の究極の原因である資源、人口、環境、貧困など人類の生存を脅かす新しい問題について制御できるコントロール・タワーにならなければならない。また、第1章の第四でふれたように国連の二院制を提言する。第1院と第2院の構成にし、第1院は、今までの一国一票の国家代表の集まりとしての総会とする。第2院は、宗教、民族、人種、マイノリティ、多国籍企業、NGOなどの国家的なアイデンティティの代表を集める。第1院の執行機関を安保理とし、第2院の執行機関を安保理以外の前述のすべてを理事会とする。312