ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

系は限界にきていると考え全く新しいルールによる国際秩序を構築するのか、を明示しなくてはならない。後者2は冷戦後の国際秩序を確立するうえで十分に機能しているとはいえない現在の国連に代わって、ベルトラン報告でいう「第三世代の世界構築」をつくる、という考え方である。しかし、それは理想としては描けても、時間もかかるし現実的ではない。われわれの課題は第一段階として今の国連を、これからの時代に有効に対処できるように改めるにはどうすればよいか、を考えることである。国連の理想像の具現化は第二段階としての将来の課題である。さらに、本稿テーマは「国連の抜本的改編の具体的方策」である。「改編」とは、前者1の意味と解すのが妥当である。前述したこととあわせ、ここでは現行の国連の枠組みの中で国連改革について論考する。第四は、現在の国連がかかえる課題と目的を明らかにし、それに対応できる組織を確立することである。国連発足当初の目的は第三次世界大戦の勃発を防ぐこと、及び日、独、伊など旧枢軸国が再び台頭するのを封じておくことにあった。つまり、国連の軸足は安全保障面にあった。しかし国連創設から50年を経た現在の世界を見ると、人類の生存を脅かしているのは地球環境問題、人口、資源、食糧、貧困、難民、麻薬、エイズ、人権などグローバルな問題である。これらは50年前には存在しなかったか顕在化していなかった問題である。これら地球的な規模で深刻化する非軍事的問題が、今われわれの生存を脅かしている。ここに軸足を移した新しい国連をつくらなければならない。この場合、後述するように複数の理事会を創設し国連を二院制にすることを提言する。第五は、国連安保理及び国連総会に国家以外の代表を加えるよう改革する。国連があくまで国家中心的あるいは政治間的機構にとどまり続けることを前提とするならば、いわば国家主権の均衡のみに配慮した民主主義論にすぎないことになる。しかし、国連に流入する諸問題が国境を越える諸問題から不利益を被る者あるいはそれらの解決の受益者たちに、国連がいかに奉仕しうるか、という観点から再構築する必要がある。民衆が新しい時308