ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回最優秀賞ビアの2ヵ国も決議に難色を示していたが、アメリカなどの猛烈な働きかけの結果、マレーシアとコロンビアは賛成に回った。このとき、キューバとともに最後まで抵抗したイエメンに対して、アメリカは、「数千万ドルを損することになる。」とまで述べたと伝えられた。このような問題を考えると、今後の国際問題解決にあたっての安保理の役割については、無条件で支持することはできない。大国間の協調が進めば進むほど、大国の横暴に対して中小国の正当な権利を保全することは、普遍的な国際機構としての国連がもっとも重視しなければならない問題である。これは、国際社会の民主化、国際民主主義の実現という問題に直結するものである。以上のことを考えると、国連が今後考えるべき方向は、安保理に日本やドイツなどの大国を常任理事国として加えることではなく、むしろ中小国の代表である非常任理事国の数を増やすとか、中小国の代表に拒否権を持つ常任理事国のポストをあてるということでなくてはならない。そうすることによって、たとえ5大国が賛成しても非常任理事国の過半数が反対すれば、あるいは中小国の代表である常任理事国が反対することによって、決議が通らないということが可能となるだろう。また、審議する問題によっては、NGOなど非政府代表にも安保理に参加することを認めるべきである。日本の安保理常任理事国入りが議論されているが、少なくとも平和国家・日本としての発想は、そういう方向に向かうべきであると考える。国際平和に大きな力を持っている国連安保理の民主化が急務である。(3)「民際交流」と平和創造力我が国では、かつては、「国際化」というと、国の専決事項であるとする考え方が支配的であった。しかし、今後私たちが意識すべき「国際化」は、社会現象としての国際化であって、それは国家よりもむしろ自治体に強く変容を迫るものである。今後の国際化の進展は、「国」と「国」とのレベルから「都市」と「都市」・「人」と「人」との関係へ、また、「経済」中心から「文化」中心へと流れを変えていくであろう。即ち、国際交流の主体が国家27