ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回佳作5.経済社会理事会を再編しよう今日多発している地域紛争の原因は過去の歴史における怨念、民族対立、宗教対立、国境の争いなど様々であるが、その根本的な原因はやはり経済利益の対立にあり、貧困、経済の行き詰まりが往々にしてきっかけとなる。冷戦時代は、イデオロギーで不満を抑えていたが、冷戦終結と共に不満と対立が表面化した。世界地図を見れば分かるように、紛争地域はほとんどいわゆる南側にある。アフリカ、中東、南アジアなどの発展途上国と東ヨーロッパなどの体制転換期にある国々である。国連にとって、これらの南側の経済発展、南北経済格差の縮小に手を貸すことこそ地域紛争の最高の予防策である。南北経済格差の拡大は地域紛争の増加をもたらし、地域紛争の増加は国連の財政難をもたらし、国連の財政難は南側の発言力を低下させ、より一層の南北経済格差をもたらす。その悪循環を断ち切らない限り国連の存在意味がなくなり、世界は益々混乱し、平和を維持することが出来ない。紛争の究極的な予防機関として国連には強力な途上国経済発展、南北経済格差是正の機関が必要である。現実には国連の6大主要機関の一つとして経済社会理事会(経社理)がある。54ヵ国が3年任期で選出され経社理を構成している。しかし、安保理、総会などと比べて経社理の影は非常に薄く、権限もなく、調査、起案などの機能しか果たしていない。しかも、多くの専門機関、地域機関に業務がばらばらに分散している。この経社理を再編して、南北問題の解決、紛争予防の強力な機関にすべきである。まず、経社理の権限を格上げて、安保理に対して勧告の権限をもたせる。安保理と経社理が車の二輪となって連携して世界の平和と発展を保障する。また、経社理の現在の各専門機関、地域機関及び国連の他の経済社会関係機関を統廃合して、全般的に立て直すべきである。世界貿易機構(WTO)も経社理再編の一環として経社理に組み込むべきである。新しい機関には、地域開発委員会、南北協調委員会、宗教共存委員会、民族融和委員会、国境調停委員会などのような目的別専門機関を設置する。それらの専門機関が徹底的に関係問題を調査研究して経社理に提案する。経社理はそれに基づいて安保理に勧告する。それをもって紛争を未然に防ぎ、発展を促す。例えば、国境に跨る運河造りや、複数の国が283