ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

それは国別の国民総所得格差が益々拡大している現実の世界経済の変化にもマッチしている。また、分担率の算出基準としている加盟国の国民総所得の約10年平均を5年平均に短縮する。それは世界経済がいま激しい競争時代となっており、外国為替も大きく変動しており、経済急成長の国もあれば、急に落ち込む国もある。特に分担率の高い国は経済が急速に落ち込み、ゼロ成長、マイナス成長となった場合に、長い期間をベースにした計算では分担率が大きな負担となる。現実にはロシアがそれであり、大きな滞納国となっている。今後は世界経済は益々変動が激しくなり、浮上したり、落ち込んだりする国は続出すると予想される。経済の浮沈がスピーディーに負担率に反映され、滞納を防ぐためには、計算ベースを短縮して過去5年の国民総所得平均を基準にすべきである。以上の分担率下限引き下げと計算基準とする期間の短縮に併せて、分担金の滞納許容限度を引き下げてより厳しくすべきである。滞納金許容限度を今の2年間分担金相当から半年分の分担金相当に限定すべきである。2年間の滞納を許容すれば、大口分担の国々は納入を渋れば、たちまち国連の財政を脅かすことになる。そういう事態を避けるためにはこの改正が必要である。それと共に、国連の予算案の採決は今の全会一致制から元の多数決に戻すべきである。国連の予算案は元々総会で多数決で決めていた。しかし、それは86年に国連改革の一環として全会一致制に改めた。全会一致制は聞こえはいいが、実質は、主要分担国に拒否権を与えるものであり、非効率的ばかりでなく、分担金額が少ない多数派の発展途上国加盟国の権限を損なった。同じ一票と言っても予算額の10%、20%と、0.01%の重みは全く違う。それは分担金が票の重さを決定する生臭い金権の世界である。それは国連改革と言うよりは改悪であり、長続けば、分担率の高い国の発言力が益々増し、国連が経済大国の言いなりになり、大勢の加盟国から離反されるであろう。国連のためには予算案採決を多数決に戻すべきである。282