ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
281/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている281ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回佳作全加盟184ヵ国からなる国連総会は審議や勧告などの権限しかなく、拘束権を持つ決定が出来ないこととなっている。しかも、近年、総会の権限がさらに縮小されている傾向にある。それは効率がいいと言うかもしれないが、あまり民主的とは言えない。安保理以外の169ヵ国が安保理に対して不満があるばかりでなく、非常任理事国に選ばれている国々も常任国に対して不満を持っているのが実情である。更に、常任理事国メンバーにおける南北のアンバランスが大きい。国連加盟国の184カ国の中でいわゆる南側の発展途上国は4分の3も占めているにもかかわらず、今の常任理事国の5ヵ国の中で中国だけが発展途上国であり、5分の1しか占めていない。発展途上国の意志を常任理事国の会合で反映させるのが中国だけに頼っており、とても力不足の状況である。今日の南北経済格差問題が解決されないばかりか益々深刻さを増しており、国連としてはこの問題の解決にほとんど役に立たない大きな要因もここにある。南北経済格差の拡大、発展途上国の経済の行き詰まり、暗い経済前途が地域紛争多発の根本的な要因となり、地域紛争の多発は国連の財政難と機能低下を招き、国連安保理に対する不満の高まりは加盟国の参加意欲を低下させ、それに分担金滞納を加えて、このままでは国連そのものの存続が危ない。抜本的な改革を行い、以上のような状況から脱出しなければならない。3.武力傾斜から身を正そう国連平和維持活動(PKO)は近年急速に増えており、しかもその多くは従来のPKOとは異質なものである。従来のPKOは休戦、停戦の監視、治安の維持を行うことで紛争事態の鎮静化と再発防止に当たる活動であり、三つの原則がある。即ち、一つは同意原則である。PKO派遣時期、継続、部隊構成には紛争当時国の要請と同意が必要である。いま一つは非強制原則である。武力行使は自衛のみに限る。最後に中立原則である。PKOは国連事務総長の指揮下に置き、紛争当時国のどちらか一方の味方をしない。冷戦時代の約40年間、安保理における協調欠如もあって、PKOは少なかった。13件279