ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

徴と言えよう。国連は積極介入しなければ紛争拡大の恐れがあるが、積極介入しても効果が余りないか、或はかえって紛争を激化してしまうという難しい局面に立たされている。紛争多発と国連無力のままでは国連は集団安全保障の役割を果たせなくなり、国連そのものの存在も無意味なものになってしまう。3)国連の組織構成がアンバランスでそれに対する不満が高まっている。安全保障理事会の構成メンバーの数、その地域分布など国連の組織構成は益々アンバランスなものとなっている。国連は1945年創設当時、加盟国が51ヵ国しかなかったが、1994年現在、加盟国が184カ国に増えた。しかし、国連の代表機関、意志決定機関とでも言うべき安全保障理事会のメンバー国は1945年当初の11ヵ国から1965年に一度だけ増員し、今の15ヵ国しかない。つまり、加盟国が3.5倍も増えたのに、安保理のメンバーが37%しか増えていない。しかも、安保理の中の常任理事国は1945年当時の5ヵ国のままである。また、後に国連に加盟した国々のほとんどがアフリカ、アジア、ラテンアメリカからの国々であるが、安保理メンバーはそれらの地域からの国が少なく、欧米に偏っている。例えば1994年一部改選されている安保理メンバー15ヵ国の中でヨーロッパからの国はイギリス、フランス、ロシア以外に、ドイツ、イタリア、チェコ等計6ヵ国を占めている。特に、安保理の中にまた特別な存在の常任理事国は、中国以外はすべて欧米の国々であり、アフリカからも、ラテンアメリカからも、中国以外の他のアジア地域からも常任理事国が一つもない。この構成メンバーの数と地域分布のアンバランスに対して加盟国、特にアフリカ、ラテンアメリカ、アジアの国々から不満が高まっている。この不満も総会、安保理と安保理の中の常任理事国との間の権限分配の問題に関わっている。周知のように、国連において、安保理常任理事国5ヵ国は拒否権を持つ絶大な存在であり、その次に、任期2年の非常任理事国10ヵ国が重要な存在である。この15ヵ国からなる安保理が意志決定機関となり、その決定が加盟国に対して拘束力を持つ。一方、278