ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回佳作・総会に、利益と地域を代表する21のメンバーよりなるChapter7 ConsultationCommitteeを設置するCaronも含め、英米の学者には有効性/実効性(effectiveness)の確保を主張して、拒否権廃止や理事国構成の見直しに否定的見解をとるものが多いようである。しかし、国連(憲章)に関する問題でこのような主張がそのまま受け入れられるべきではない。解釈の余地のない、文言の示すところが言葉の通常の意味において明確な場合(27, 108, 109,etc.)でも、段階的に大国の譲歩を引き出すことは後に述べるように可能である。また、解釈の余地がある憲章の規定にかかわる問題では改革は実現可能性が高い。条約の解釈の手法には3つあるとされる。文理主義・当事者意思主義・目的主義である。実際の解釈では、原文の文理解釈を第一とし、他の二つの手法も個々の事例毎に取り入れフレキシブルに対応している14が、国連憲章の解釈に当たっては目的主義的アプローチが重視されるべきであるという主張に意義を唱えるものは少ない。創設当時の当時者の意図よりもその設立目的、理念を尊重して現代および未来をにらんだ調整をしていくべきだとされているのである。これは最も大規模な解放型多数国間条約という国連憲章の性質から導き出せるものである。まず、原文の意味が明確であり憲章の改正が必要なものについて考える。総会からのボトムアップ型へ/事務総長をつなぎに総会が国家の議会のように機能することは期待すべきではないし現実的ではない。しかし、安保理で検討されている問題で、加盟国間で議論が大きく別れるであろうようなものが、総会において各国の意見表明を待たずに決定される事態は黙認できない。総会は加盟国の共通意思決定の場ではないが、問題に対する意見を表明し国際世論を現実化させる場である。その世論を生かすべく必要なのは安保理との間のループの強化である。そのために有効なのが憲章12条2項の改正による、事務総長の安保理→総会への連絡権限の拡大である。事務総長は安保理で扱っている平和と安全に関する問題を総会に通知する権限があるが、14条約法に関するウィーン条約第31、32条参照。269