ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第3章国連のnew-birth(re-birthではなく)に向けて以上で、legalityではなくlegitimacyの問題である以上現代国際社会では民主的な機構が正当性の付与のためには要求されること、それが現状では不存在であることを見てきた。以下ではこれを踏まえて安保理改革をはじめとする国連の改革を具体的に提案したい。第1節第48回国連総会までの討議で明らかになったこと1933年の第48回国連総会の最大の焦点は安保理改革であった。各国が提出した意見書や総会での議論を通じて明らかになったことは次の3点であった11。1.予算分担率で2位・3位の日本・ドイツの常任理事国化には大きな反対はないこと。2.新常任理事国の拒否権については反対が多いこと。3.非常任理事国の任期2年を超えて理事国とする「準常任理事国」制度の創設を、多くの国が提唱していること。日本の安保理入については総会前の意見書で賛成していたのは、アメリカ・オーストリア・オランダ・ネパール・ブラジル・スペイン・カナダで、総会討議後にはもともと慎重だった中国・イギリス・フランスも賛成に傾き、外務省によると直接・間接の支持は23ヵ国になったという。しかし1994年10月13日段階では、台湾問題がらみで中国が不支持に戻り、南北朝鮮も支持はしないとしている12。第2節学者たちの提案と私の模索するnew-birthへの道David Caronはその論文13の中で国連改革についての様々な学者の提案を列挙しているのでこれをまとめる。・拒否権は憲章改正の難しさ、および実効性の確保の見地から現状維持がよい(Caronを含め多数の説)・非常任理事国を再選可能にする(Ramesh Thakur, etc.)・総会に安保理の活動の評価と批判をする権限を与える(Ortega Careelen)・事務総長が安保理で審議中の事項を総会に通知する権限を強める(Childers,Reisman)26811世界年鑑1994、55頁。国連1993年10月号以降。など12朝日新聞1994年10月10日朝刊。13 David Caron, Supra note 3, p. 552.