ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「国連の抜本的改編の具体的方策」谷合栄子○はじめに1995年の創立50周年を前に、ここ数年国連改革を求める声が高まり、改革のための作業委員会が総会に設置されるなど、現実化へと動きつつある。具体的な検討課題として最も顕著なのは、理事国構成の変更を含む、安保理の改革である。冷戦も集結し、第二次大戦直後という国連創設時の状況からの変化に鑑み、日本とドイツの常任理事国入が検討され、また発言力を強めてきた第三世界から地域代表のたすきをかけたインドやナイジェリア、ブラジルも常任理事国の椅子を主張している。日本政府もその肩書に向かって手を延ばす仕草をしており、それについて国内外に賛否両論が沸き起こっているのは周知のとおりである。そうした主張の検討にも意味があり、また必要であるが、少々ステップバックした視点から見ると、別の検討も今必要であることに気付く。これらの動きはすべて政治のディメンジョンで起こっていることである。しかし、現在の、またこれからの国連に要求されているのは、より公正で偏向の少ない管制塔としての役割であろう。政治的巨大権利という目に見えない管制官に統制されていた国際社会は、国連という、法主体性を持つ目に見える機構をオペレーションセンターとすることで、民主的に、クリアになり、また法的にも秩序だったものへと指向している。ところで一方では、国連を象牙の塔であるかのごとく過度に神聖視する向きもあるが、そのように理想の輝きに目を眩ませられてそもそもの現実の認識ができなくなると実現可能性の高い未来予想図が描けなくなってしまう、ということにも注意する必要がある。そこで本稿では、まず戦後50年を経て国連がどの様な性質を持つに至っているかを検262