ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

ヨーロッパは前者の可能性が開けつつあるが、アジアではまだ展望が見えていない。後者については軍縮総会など国連の努力にもかかわらず、大国の抵抗によってこれまで大きな成果をあげてこなかった。アジアでは、多様な言語、民族、宗教などが複雑に絡み合っていて、揺るぎない信頼醸成の枠組みを作り上げるまでには、長い時間を必要とするであろうが、国連が主導しアジア域内諸国の信頼醸成に真剣に取り組むべきである。これが、集団安全保障が機能し世界平和の創造に寄与するための条件づくりとなる。アジアでもCSCEのような「民主化」のルールが下敷きとなる「国際安全保障体制」づくりが90年代において緊急の課題となっている。(2)国連安全保障理事会とアメリカ・ソ連国連の平和構想を論考するにあたって、国連安全保障理事会(以下「安保理」という)とアメリカ・ソ連の存在を抜きにはできない。国連の創設は第二次大戦中に構想されたものであるが、国連の創設に最も熱心であったのはアメリカであった。創立当時の国連はアメリカの強い影響力を受けたしアメリカも国連を活用した。しかし、90年代以後多くの旧植民地が独立し、大挙して国連に加盟する状況が出現するとアメリカは国連内で少数派に転じた。少数派に転じたアメリカは、次第に国連に対して冷淡になっていった。そのアメリカの姿勢が変化し、国連に対して再び好意的な姿勢に転じたのは1985年のゴルバチョフ政権の誕生であった。軍拡と硬直化した官僚主義によって当時のソ連経済は疲弊していた。この経済的困難の打開を最重要課題としたゴルバチョフは、アメリカを中心とする西側との協力が不可欠であると考えた。その結果、ソ連の対米政策は「対決」から「協調」へと転換した。ソ連を引き継いだ形のロシアも国内における改革派と保守派の暗闇の中で、エリツィン政権はアメリカをはじめとする西側の支援なしではとても命脈を保つことはできない。24