ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回佳作1経済社会理事会の地位は低く、権限は弱い。国連は、紛争や戦争を集団的手段によって停止させるために、極めて強力な地位と権限を安保理に与えているが、紛争や戦争に深くかかわっている人類の生命の根幹の人類・福祉・環境等の問題に対して極めて重要な責務を担っている経済社会理事会には、二次的な地位と権限しか与えていない。2経済社会理事会は充分な成果を上げていない。例えば、経済・社会理事会の専門機関である国連人口活動基金UNFPAが、1974年から10年毎に開催した世界人口・開発会議では、「経済・社会の開発の促進」「出生率低下のための政策介入」「性と生殖に関する健康と権利の擁護」という行動基準を順次採択してきた。これら三つの行動基準は経済学・社会学・医学の近代理論に照らしても決して間違いではない。しかし、現実に、世界の人口の今後の増加率はさらに増加し、現在の人口57億人は、出生率が中位の場合でも2050年には100億人に膨張し、しかも、それが主として、既に貧困や飢餓に苦しんでいるアフリカやアジア諸国で発生すると予測され、人類は早急な対応に迫られている。また、昨年の世界人口・開発会議で三回目の新しい行動基準が議決されたが、それに関して各国・宗教団体・NGOが行った激しい議論によって、先進国と発展途上国の独自の生命思想と宗教をそれぞれが主張し、人々の心の亀裂はさらに深まったようである3。また、世界の難民は70年代には800万人であったが、今や2,300万人に達し、難民同士や民族間の抑制や差別が一層拡がって激化し、それによって今後の難民の増加が加速されつつある。3各種の国連機関と専門機関は協調して活動していない。経済社会理事会の下部には、総会が設置した「国連機関」があり、別に政府間協定によって設置された「専門機関」がある。これらの機関の機能は多様であり、かなり3第三回世界人口・開発会議に関する94.9~94.10の間の朝日・日経・毎日の記事・解説・社説。251