ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

る審議はしばしば行き詰まった。一方、五大国の拒否権によって安保理が国際平和と安全の維持について責任を果たせなくなった場合には、(1)総会が24時間以内に緊急特別総会を招集し、(2)その総会によって軍事行動を含む集団的措置を勧告することができる。しかし、緊急特別総会には安保理における大国の不一致がそのまま持ち込まれ、それにつれて大国が率いる陣営諸国の対立も激化し、具体的な行動を合意するまでには国際的に莫大な労力と長い時間が費やされた。また、非常任理事国は1965年からは10ヶ国となったが、全加盟国185ヶ国を代表するには余りも少数であり、全世界も世界の各地域も代表してはいない。すなわち、安保理には強い権限が与えられてはいるが、安保理の実体は五大国の対立の場となり、安保理の構成も全世界と地域も代表してはいない。この実体が、安保理と緊急特別総会、さらには国連に対する加盟各国の不信感をつのらせ、信頼感を次第に失わせつつある。(5)経済社会理事会は充分に機能していない国連は第二次世界大戦前の国際連盟に比べると、経済・社会・文化・人権・福祉に関してはるかに進歩した理念を掲げている。すなわち、世界における経済・社会・福祉の発展と文化の向上・交流・相互理解と人権の尊重・擁護が、平和で友好的な国際関係を築くために必須であると考えられている。特に、世界の経済に関しては、いずれの国民も他国民と互いに無縁の存在ではあり得ないという連帯と相互依存の基本的な認識に基づいて、貧しく恵まれない人々の生活と福祉の向上を図り、世界経済の長期的かつ安定的な発展は開発途上国の継続的な発展なしには実現できないことが基本的に理解され、国と国との経済格差を縮小させることが世界平和に貢献する、と考えられている。このような国連の理念を人類はこぞって歓迎し、成果を期待して明るい希望を抱いた。そして、経済社会理事会はこの理念に従って活動を展開したはずであるが、現実には以下に述べるように充分な成果を上げていない。250