ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回佳作によらない「平和的手段」によって「国連が防止または強制行動を行使する国に対する援助を禁止」すること、が掲げられている。国連憲章のこの部分は、極めて直接的かつ実務的であり、国連が戦争や紛争を手段によって停止させる役割を果たすこととなっている。しかし、手段によって戦争や紛争を集結して和平を実現した実例は過去殆ど見られない。例えば、1950年6月に発生した我が国に身近な朝鮮戦争もその一例であった。ふりかえると、この時に初めて安保理は軍事強制行動を各国に勧告し、16ヶ国が国連軍のもとに軍隊を派遣して激しい軍事行動を展開したが、やがて安保理はソ連の拒否権によって機能しなくなって問題は総会に移された。そして、総会において次々と採択された多様な決議によって1953年7月にようやく休戦協定が成立した。その後も1975年までの毎年の総会で朝鮮問題は論議され続けたが、関係諸国が満足できる和平案を求めることができず、それ以来朝鮮問題は次第に論議されなくなって放置された。その結果、南北朝鮮の緊張と対立は益々強まり、世界は北朝鮮を孤立させ、核開発疑惑への道に追いつめて行った。このような朝鮮問題の苦い経験にもかかわらず、その後の国連は幾多の失敗を繰り返し、今でも国連による各地におけるPKOの失敗が続出している。さらに、安保理と総会は、世界の和平を乱さないための予防的安全措置を討議したことはなく、世界の和平の動態を常に注意深く調査・研究し、必要な警告と勧告を発したことはない。また、小火器を含む武器の世界的規模での輸出入禁止または制限について論議されたこともない。上記のように、国連は問題が発生してから余りにも性急に直接的な安全保障措置を求め過ぎ、それが成果を上げる場合は殆どなく、その失敗が関係諸国間の亀裂を広げて和平への道を益々暗くしている。(4)安全保障理事会は五大国の対立の場となっている安保理において、五大国は拒否権を行使することができる。実際に、安保理における拒否権行使の総件数は1994年6月末までに米国65件、ソ連117件に達し2、安保理におけ2日経新聞の解説記事「国連“期待過剰病”に」、94.9.8.249